スイッチング卓の操作タブレットが、突然コントロール権限を失った。画面は生きている。音声も途切れていない。だが端末だけが、ネットワークの外に弾き出されていた。同じWi-Fiにぶら下がっていたスタッフのノートPCは無傷だった。再起動しても、翌週の別会場でも、同じことが起きた。原因は電波の弱さでも、機材の故障でもなかった。

Wi-Fiが切れる現場を洗い直すと、原因は毎回同じ三つの層に分解できる。回線そのものの不調、ルーターの無線設定、そして端末のOSが下す独自の判断だ。特に見落とされるのがルーターの設定層である。5GHz帯の一部チャンネル(IEEE 802.11hが規定するDFS帯域)は、気象レーダーの信号を検知する仕組みを内蔵しており、検知した瞬間、その機器を60秒間沈黙させる。さらに本番中にレーダー波を検知した場合は10秒以内にチャンネルを離れ、以後30分間は同じ帯域に戻ることができない。これは電波状況の偶然ではなく、機器に組み込まれた強制動作だ。
DFSチャンネルの挙動は、消防訓練のサイレンが鳴るたびに持ち場を離れる警備員に似ている。本人の判断ミスではない。呼び出しがかかれば、どれほど重要な仕事の途中でも、規則として現場を離れざるを得ない。Wi-Fiが「勝手に」切れているように見えて、実際は機器が定められた義務を果たしているだけ、ということがある。

この問題には、回線・設定・OSの三層それぞれに対応する具体的な手順がある。DFSチャンネルを避ける設定、チャンネル幅の選び方、OS側の省電力機構を止める操作——どれも特別な機材を必要としない。有料部で、実際の設定画面の場所と数値基準をそのまま渡す。
この記事の有料部を読み終えると、次の三つが手元に揃う。
- 本番前に確認すべき設定項目のチェックリスト(数値基準・出典付き)
- Windows/macOS/iOS・Androidそれぞれの具体的な操作手順
- 変更前後の比較表と、トラブル発生時の切り分けフロー
現場で今日から使える内容だけを収録した。

DFSチャンネルでレーダーを検知すると、機器はその帯域に30分間戻れない(IEEE 802.11h)。本番中にこれが起きれば、30分間は今の設定に頼れないということだ。この事実を本番前に知っているかどうかで、当日の判断速度が変わる。次のページに、その対処の全手順がある。


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