縁だけがピンクに溶ける
会社ロゴの赤が、編集ソフトのプレビューでは一本の欠けもなく立っている。同じ映像をNDIで飛ばし、配信画面で見る。文字の縁が、うっすらピンクに溶けていた。

まずビットレートを上げた。変わらない。エンコーダーを替えた。変わらない。カメラの設定を一つずつ戻した。やはり変わらない。
疑った場所が全部はずれていたのは、犯人が「画質」ではなく「色の持ち方」だったからだ。壊れた機材は、一台もない。
数字で見ると、理由は単純だ
フルHD(1920×1080)の映像には、明るさの情報が2,073,600点ある(1920×1080)。ところが色の情報は、方式によってはその4分の1、518,400点しかない(960×540)。色は、明るさの半分の細かさで、縦横それぞれ間引かれている。

この間引き(4:2:0)を前提にした方式が、NDI HXだ。NDIの公式資料によれば、1080p60の最大帯域は、NDI High Bandwidth(SpeedHQ2、4:2:2)が132.14Mbps、NDI HX3のH.264(4:2:0)が62.00Mbps。比べると46.9%(62.00÷132.14)の帯域で、映像が運ばれている。
(出典:NDI Docs「NDI High Bandwidth based on SpeedHQ2 (8bit 4:2:2)」「NDI HX3 h.264 (8bit 4:2:0)」/1920÷2=960、1080÷2=540は筆者計算)
あなたの目が悪いわけでも、腕が悪いわけでもない
地図の塗り絵を想像してほしい。下絵は、細い線までくっきり描かれた白黒だ。ところが色は、マス目4つにつき1つ、4マス分の面積をもつスタンプで押すルールになっている。細い赤線を引くと、スタンプは線と同じブロックの隣のマスまで、うすい赤に染める。下絵はきれいなまま、色だけがはみ出す。

映像で起きているのは、これと同じことだ。明るさ(下絵)は全画素に届き、色(スタンプ)は4画素に1つ。赤い細字は、色が主役の被写体だから、真っ先に崩れる。
直せない問題ではない。同じ経路を通しても、崩れる文字と崩れない文字がある。その差は、設計の段階で数字として見分けられる。
有料部分で手に入るもの
- 自分の現場の経路で「色がどこで間引かれているか」を30分で特定する手順
- 赤・緑・青・黄など7色の明るさ(Y′)早見表と、色の組み合わせの合否判定
- 線の太さ別・方向別の「色の残り方」の計算表(理屈で説明できる数字つき)
- アルファ付きテロップをNDI HXで送るときの確認ポイント
- 次の案件からそのまま使えるテロップ設計ルール4項目と、配信前チェックリスト

この先は、設計図の話になる
確かめる方法はある。ただし、何を作り、どこを見て、何px以内なら合格とするのか。その物差しがなければ「なんとなくにじんでいる」で終わる。
赤は、ロゴにも警告表示にもライブの照明演出にも使われる色だ。そのとき、納品後にクライアントの目で指摘される側になるか、先に潰した側になるか。分かれ目は、この先の数ページにある。


コメント