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納車3年目に告げられた「大型免許が必要です」

陸運局の検査場で、検査官が車両総重量計の表示を指しながら告げた。「この状態では大型免許が必要です」。3年前に納車されたときは中型免許の範囲内だった中継車だ。4K対応スイッチャーへの積み替え、サブモニターの増設、ケーブルドラムの追加——機材を1つずつ足してきた結果、車両総重量がいつの間にか基準を超えていた。配線の本数をどう減らすかに気づいたのは、検査場からの帰り道だった。
重量の正体はケーブルの本数にある

中継車の重量超過は、機材本体の重さだけが原因ではない。同軸ケーブルとトライアックスケーブルの本数が、車両総重量に直接のしかかっている。奈良テレビ放送がIP化に取り組む前のシステムでは、スイッチャー1台に同軸ケーブルが64本接続されていた。IP化後はこれが4本になった。本数は16分の1である(出典:Huawei Enterprise Japanケーススタディ、奈良テレビ放送、2023年公開)。
一方、日本の運転免許は車両総重量で区分が分かれる。3.5t未満が普通免許、3.5t以上7.5t未満が準中型免許、7.5t以上11t未満が中型免許、11t以上が大型免許だ(出典:警察庁交通局「運転免許の区分」、2017年3月12日施行基準)。ケーブルが積み重なるほど、運転に必要な免許区分が一段階重くなる可能性がある。
荷造りに似ている

中継車の設計は、引っ越しの荷造りに似ている。同軸ケーブル1本を段ボール箱1個だとすれば、64個の箱を積むトラックと、4個の箱で済むトラックでは、必要な車両のクラスがまるで違う。荷物の量を減らせば、より小さく身軽な車両で同じ仕事ができる。今の中継車に詰め込んでいるのは、本当に「64個の箱」が必要な仕事だろうか。
答えはすでに実例の中にある
配線の本数を減らし、車両重量を免許区分の境界内に収めながら、4K・UHDの伝送帯域を確保する設計手法は存在する。イギリスのNEP UK社、朝日放送テレビ、奈良テレビ放送——すでにIP化を完了した事業者の実例に、その答えがある。重量・配線・帯域という3つの制約を、どの順番でどう解くかが鍵になる。
この記事で手に入るもの

有料部では、次の3点を手に入れられる。
- 車両重量を免許区分内に収めるための、配線本数からの逆算手順
- 搭載カメラの台数と解像度から伝送帯域を計算する設計式
- ST 2022-7冗長を組み込んだ場合の帯域シミュレーション表
後回しにすると起きること
この設計を後回しにすると、納車後に重量超過が発覚し、免許区分の変更やシステムの組み直しが必要になる。38トン級の中継車を運用するNEP UK社も、最初から重量配分を逆算して設計している。次の章は、その逆算の手順そのものだ。
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