リモートで繋いだ出演者の画が、30秒おきに荒れる。そういう場面を一つ想定して書く。

こちらのモニターでは顔がブロック状に崩れ、声は届くのに口の動きが半拍遅れる。出演者は「自分の側は普通に見えています」と言う。スタッフはアプリの再起動を頼み、入れ直してもらい、最後は「Wi-Fiルーターの近くへ移動してください」と指示する。直らない。台本どおりの掛け合いは成立しないまま、進行表の次の行へ送られていく。
この種の不具合には、置き場所の決まった数字がある。Zoomのシステム要件の抜粋では、1080pの映像を送り出すのに3.0Mbpsが必要とされている。出演者宅の上り回線が実測4.0Mbpsなら、使用率は75%(3.0÷4.0)。残りは1.0Mbpsだ。同じ家で誰かが1.0Mbps以上の送信を始めれば、その余白は消える。遅延にも上限がある。ITU-T勧告G.114は、片道150ms以内なら大半の用途で影響が出ないとし、400msを超えない設計を推奨している。往復300msを使い切った時点で、片道は150msに届く。

出演者に落ち度はない。ケータリングを頼むとき、会場の冷蔵庫の容量を確かめないまま当日を迎える人は考えにくい。ところがリモート出演では、出演者の自宅という「一度も下見していない会場」の回線を、台本の外に置いたまま本番を迎えてしまう。画が荒れるのは本人のせいではなく、確認する仕組みがなかった、という構造の問題である。

自宅側で起きる不具合は、4つの層に分けて点検できる。しかも出演者本人が一人で、出演日の前に終えられる形にできる。やり方はある。
この記事の有料部で手に入るのは次の3点だ。
- 4つの層それぞれの「合格ライン」を数字で並べた判定表
- 出演者に送るだけで使える、15分以内の事前チェック手順
- 本番当日に続行か切り替えかを決める、数字ベースの撤退基準

私が45年の現場で積み上げた判断軸を、あなたには15分で受け取ってほしい。次のリモート出演から、出演者の自宅を「確認済みの会場」として迎えられる。


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